*このエッセイは、ビッグウッド代表 大木 政春によるものです。
 「ビッグウッドのフードに対する想いやこだわり」をみなさんにお伝えできたら幸いです。




ドッグフード奮闘記 Vol.9 「またまた悪戦苦闘」


 みどり製薬山口専務の紹介により、私は宮崎大学黒田教授のもとを訪ねました。
黒田教授は「あなたが来るのを楽しみに待っていたんですよ」とあたたかく迎えてくれました。
そして、初対面の私にこんな話をしてくれました。
「私はいまは大学の教授をしていますが、実は百姓の倅で、いずれは、家業を継いで農業に戻りたいと思っているんです」
「私も犬を飼っていて、ドッグフードについては何とかしなければいけないと、ずっと思っていたんです・・・」
そして、「あなたが本気で理想のドッグフードを作るというなら、全面的に協力しますので頑張ってみませんか?」とおっしゃられました。
こちらからお願いしようと思っていたことを、逆に先生の方からいただき、これまで悪戦苦闘の中、続けてきてよかった・・・と思うありがたい瞬間でした。

私は水を得た魚のごとく毎日宮崎大学の研究所へ通いつめました。
先生の16年の研究結果や、今までの苦労話を基に、手作りフードのレシピ、そしてこれからのドッグフードに対しての考え方や心構えなどを来る日も来る日も惜しみなく、親切に教えていただきました。

そして、いざ多くの悩める愛犬や飼い主さんの為に、先生のレシピによる手作り自然食を供給しようと考えたとき、新たな問題が2つ降りかかってきました。
ひとつは「原料調達」。黒田先生が考えているようなこだわりの原料を、果たして全国の飼い主さんに供給できるほど多量に確保できるのだろうか?
そしてもうひとつは、「新鮮さが命の自然食を栄養成分を壊さずに日持ちさせる方法」についてでした。
今までの悪戦苦闘の日々が脳裏をかすめ、「もしかすると今まで以上の時間と資金が必要になるかもしれない。
だとすると、今の自分にはそれに堪えられるほどの気力も資金もない・・・ここでおしまいになってしまうのか?」
ふたたび絶望感にさいなまれてしまいました。

幸い、ひとつめの問題については、黒田先生とみどり製薬に相談することで解決の糸口が見つかりました。
全国の無農薬・無投薬の生産者組織があるということでした。
後は残りの栄養成分を損なわないように日持ちさせる工夫だけだ!
これは何とか自分で解決しなければ今まで助けていただいた多くの方に報いることすらできない!
「全ては自分の責任」と腹をくくり、無我夢中で試行錯誤に取り掛かりました。
しかし思いとは裏腹に、結果は最悪の事態へと向かっていったのです。


Vol.10につづく)