*このエッセイは、ビッグウッド代表 大木 政春によるものです。
 「ビッグウッドのフードに対する想いやこだわり」をみなさんにお伝えできたら幸いです。




ドッグフード奮闘記
Vol.19 「授業スタート」


自然治療師「ハンナ・クローガ−」の温かい出迎え。
私が漠然と抱いていた、今までに知り得ない未知の世界へ足を入れることの不安は多少ですが彼女に実際に会うことで解消されました。

ハンナへの挨拶を済ませると、私と友人は建物内の教室に案内されました。
そこには、これから10日間の研修を共に受けると思われる数十人の同志たちが集まっていました。
教室で自己紹介などをしていると、スタッフの方がやって来て、私たちに「キッチンへ来るように」言いました。

私たちは、言われるがまま彼の後についてキッチンへと向かいました。
そこで私たちが目にしたのは、なんとハンナ自身がキッチンに立ち、目玉焼きを作りウインナ−をいためている姿でした。
そして、彼女はいためた目玉焼きとウィンナーをトーストと一緒に私たちに出してくれました。

「あなたたち、朝食を食べてないんでしょう? 朝食抜きは身体に良くないわ」
私と友人が東海岸からコロラドまで徹夜で車を運転してきたことを知っていたのでしょうか・・・。
私たちが呆気にとられていると、ハンナが続けました。
「このパンは、私の友人が天然酵母で作って毎朝届けてくれるもの。卵もご近所で自然飼料で育てられているもの。
ウインナ−ももちろん無添加ヨ!さぁ、食べて・・・!」

私たちが夢中で食べている間も、彼女はいろいろと話しかけてきてくれました。
「パンと野菜や果物を一緒に食べる人がいるけど、そういう食べ方は良くないのヨ!
食べ物は色彩の組み合わせや陰陽の組み合わせがとても大切なの・・・このことはしっかり覚えておいてね」
あの偉大な自然治療師ハンナクローガーが、初対面の日本人、どのような訪問者かもわからない私に朝食を手作りしてくれる・・・異国の地での温かいもてなしに、私は感激で胸がいっぱいになりました。
食事をしながら説教までしてもらって・・・まるで、故郷に住む自分の母親と話しているような不思議な感覚が、私の心の中で懐かしい優しさとなって広がっていきました。

そして、美味しい朝食のあとでいよいよ授業がスタートしました。
授業は『食事』・『ハーブ』・『ホメオパシー』・『レスキュー』・『エネルギー』という科目に分かれ、1時間ごとに行われていきました。
一緒に授業を受ける仲間の年齢や職業、国籍はさまざま。
インドの自然治療師、ルーマニアからきた医師、ドイツの医学生、アメリカ国内の医師、自然治療師・・・地球上のありとあらゆる場所からさまざまな仲間が集まってきています。
ほとんどの仲間は何年間にもわたって授業を受け、実際にその知識を仕事に活用しているベテランばかり。全くの初心者は私だけでした。
そのことを知って少しだけ不安な気持ちになりましたが、ここまできてめげてはいられません。
『何事も前向きに全てを吸収するのみ!』と腹をくくり授業に臨んでいきました。

ところが初心者のハンデは、前向きにと腹を据えた程度で克服できるようなレベルではなかったのです。
『全てを吸収するということがいったい何なのか・・・』
それさえもわからなくなってしまい、くるくる目が回るだけで手も足もでない、何もできない状態に陥ってしまいました。

Vol.20につづく)