*このエッセイは、ビッグウッド代表 大木 政春によるものです。
 「ビッグウッドのフードに対する想いやこだわり」をみなさんにお伝えできたら幸いです。




ドッグフード奮闘記
Vol.27 「ワニータ家訪問で放心状態に陥る」


邪気・邪霊を払う無数の炎が灯された巨大なロウソクに歓迎された私達は、玄関を入り奥の部屋へと通され、世間話などをしながら過していました。すると、ワニ−タに突然「儀式がすんでないわネ、こっちへいらっしゃい!」と案内され、向かった先の部屋には大きな祭壇らしきものがありました。

突然の儀式という掛け声…。目の前には大きな祭壇…。ここは、いったいどこ?あなたはいったい誰?もう何を考えるべきかとか、何を感じている状態か、なんだ、かんだ、というような意識は自分の脳裏から消え去り、ただあるがままにいることしか出来ない状態でした。

ワニータから、「あれ、持ってきてくれた? 出して。」と言われ、半ば放心状態の私へ友人がすかさず「あれだよ、あれっ!」…と言われても、私は「あれってな〜に?」の状態でした。

「まったく〜・・・途中で買った葉巻とインディアンの木の人形だよ!」そう友人に言われ、言われてみれば確かに買った。「え〜、あれっ、ワニータのところへのおみやげ物だったの?聞いてないよ〜」「こんなの、日本へのお土産にするなんて変わった奴だな〜」と笑ってしまっていた、まさかあれっ!?

車の中に置いてきたので、「わ、わかった、取って来る」と席をたち、またもや巨大なロウソクを横目で見ながら、取って来ました。

「ありがとう!」ワニ−タは、その場でその包みを開け、祭壇にお供えしました。友人の顔を横目で確認すると彼はワニ−タ家への訪問が何度もあるため、あたり前の顔をし、平然と目前で繰り広げられている ― 私にすれば突然の突拍子もない ― 現象にも動じることなく笑みさえ浮かべていました。

「こん畜生!僕の困惑の顔見たさに、わざと何も教えずにここまでつれてきやがったな〜」「覚えてやがれ・・・」とか思っていると、突然儀式が始まりました。

「先祖にあなたが来たことを報告するの。先祖はあなたがどんな人間で何を望んでいるのか?どんな手助けが必要なのかを私に教えてくれるわ。葉巻でお呼びするのヨ・・・」

そして一通りのお祈りが済むと、「この人がおじいさん、そしてこの人がおばあさん、この人はそのまたお父さん、お母さん・・・家は先祖代々シャーマンなの。最後にこの狼が私達一族の守り神なのヨ。」壁にかけられた無数の写真や絵に映っているご先祖様の紹介を受け、更に深刻な放心状態に陥ってしまっている私に「先祖もあなたの訪問を歓迎して挨拶しているわ。」

私は、「ご挨拶しなきゃ。なんていってご挨拶しようか?私はどんな人間と思われているのだろう?何を望んでいる人間に映っているのだろう?」「こんな物を土産にするなんて変わった友人と思ってしまった。」「友人にこん畜生!と言っている瞬間があった。」「覚えてやがれとまで言ってしまった。」「冗談とわかってもらえるだろうか?」様々な不安と、不覚を取ってしまったことが頭を埋め尽くし、もう何がなんだかわからなくなっていました。

(Vol.28は2003年12月にアップします。お楽しみに!)