今年最後に登場するのは、ビッグウッド糸島ウエランカラで、しつけ教室のアシスタントとして頑張る研修生、松雪の愛犬”サンちゃん”です。
犬とのふれあいを目的としたテーマパークで子犬のころから成長するまでの間を過ごし、その後も飼主を転々とした後、松雪とであったのは2年ほど前のことでした。 はっきりした年齢はわかっていませんが、全体的な様子から、この時すでに10歳を迎えていたようです。
うつろで、何かを諦めたような無気力な表情のまま引き取り手を募集されていたサンちゃんをどうしても放っておけず、引き取ることを決めたそうです。
ビッグウッドを知ったのは、サンちゃんを引き取ってからすぐのことでした。
「一般的なドッグフードの脂っぽさと匂いがどうしても好きになれなくて、サンにも与えたくないと思っていたところに「華」を見つけたのですが、触ってもサラッとして、フード特有のおかしな匂いが全くしないことに驚きました。水分をかけると不自然なぐらいに膨張していた以前のフードに比べて、「華」は形が残らずドロドロに溶けてしまうことも新鮮な発見でした。」
一生のほぼ半分以上を、心休められないまま人間に振り回されてきたサンちゃんだけに、せめてこれからの犬生は、のびのびと楽しいものにさせたいと思っていたのですが、初めの数ヶ月間は、予想以上に大変だったそうです。
1人の飼い主に可愛がられるわけではなく、決められた時間に人々と接する以外はほとんどケージの中で過ごし、今やっと安住の地をみつけたサンちゃんにとって、一番我慢できないのは大好きなご主人が"いなくなる"こと。
「サンは、それまでトイレのしつけも教えられたことがなかったので、部屋のあちこちで粗相を繰り返していました。とにかく粗相を繰り返させないために、ケージやサークルで居場所を制限するトイレトレーニングから始めたのですが、同じ部屋にいても私の姿が見えなくなった途端、狂ったように吠え続けていました。」
ごはんやおやつにもほとんど興味を示さず、とにかくそばにいてほしい、かまってほしいと求めるほど、愛情に飢えていたサンちゃん。
「分離不安のようなものだったと思います。でも、サンがかまってほしい時にそれに応え続けるだけでは、この子は一生不安を抱えて生きていかなければならない。私はどこに行っても必ず帰ってくるということを、どんなに時間をかけてでもサンに理解してもらおうと思いました。」
それからは、運動や遊びを通して適度に疲れさせ、お留守番中は眠たくなるように、また、短時間の留守番練習を根気強く繰り返しました。
また、ウエランカラ糸島で行われている"DINGOプログラム"のしつけ教室を通して、よりしっかりとしたコミュニケーションをとれるように練習していました。
そんな中で、サンちゃんは少しずつ変わっていったのです。
「まず驚いたのは、食欲が増してきたこと。3日くらい何も食べなくても平気なくらいに食が細くて、鶏ガラのようにカリカリに痩せ細っていた子なのに、いつからか食欲がぐんと増して・・・。歯石を除去してものを食べやすくなったこともあるのでしょうが、ごはんは残して当たり前だったのが、ペロリと完食するようになったんです。留守番中も、ひとりでコング遊びに熱中したり、安心してお昼寝するようになって、私も驚きました。心も体も安定してきたようです。」
折れそうだった身体にはほどよく肉がついて、バランスの良い身体つきになり、幼い頃から自分で毛をむしりとっていたためにミミズのような形になっていた尻尾にも、きれいな被毛がのびてきました。
「表情も、面白いように変わりました。笑うこともなく、始終緊張してつっぱっていた顔つきが和らいで、嬉しそうに口角をあげて笑ったり、困った顔をしたり、表情豊かになって。以前は他の犬にもまるで興味がなかったのに、今では同じDINGOクラスのワンコたちに、自分から遊ぼうと仕掛けることもしばしばです。とても明るくなってまるで別の犬みたい(笑)。」
おもちゃ遊びを覚えたり、レッスンで一生懸命頭を働かせて、少しずつステップアップするサンちゃんは、日ごとに若返っているようです。
つい先日訪れた耶馬溪では、山登りにもチャレンジ!草にまみれてゴロゴロ転がり、草原を駆け回るサンちゃんの姿は、生きる喜びに溢れていました。
「誕生日が不明なので、はっきりした年齢はわからないのですが、サンのテーマは、"永遠の10歳"!サザエさんのように、いつまでも年をとらず若々しい、いきいきとした子でいてほしいと思います。」
サンちゃんとの生活、来年はますます楽しいものになりそうですね☆
最後に、今年1年を振り返って、松雪から一言。
「ウエランカラ糸島も、オープンから早半年が経ちました。ドッグランやショップ作りと、まだまだ試行錯誤の繰り返しですが、この場を通してたくさんのワンちゃんや飼主さんとの出会いがあり、本当に楽しく勉強になることばかりです。悩みを抱えてしつけ教室に来られた飼主さんとワンコが、レッスンを通してどんどん変わっていく様子、きつい表情をしていたワンコが、いきいきと楽しそうな顔に変わる姿を見られること、飼主さんに喜んでもらえることが、何よりも嬉しいです!来年も、たくさんのお客様との出会いを心待ちにしています。皆さまとワンコにとって素晴らしい1年になりますように・・・。」
今年1年間、ご愛顧いただき、誠にありがとうございました。ビッグウッドは来年もがんばります!
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